星祭りの清水と臨時の名

星の月の、星祭りの夜。
ウタは丘の裾のくぼ地を指した。あそこに水がある、と。
レンが硬い地盤を力強く叩き割り、そこから冷たくて清い水が噴き出した。熱に浮かされていた若者の口にその水を含ませると、夜半には熱が引き始めた。
水のおかげなのか、若者の命が自ら戻ってきたのかは、ウタにはわからない。
ガルドは「先代も知っていた場所だ。偶然にすぎない」と言い、ウタを正式な聴き手とは認めなかった。追放は免れたが、ウタはただの「臨時の聴き手」なのだと、皆の前で宣言された。

……あのくぼ地に水がある、と、声が言っている。ウタはそう言った。
けれど、声は言っていない。ウタが言った。
ウタは、あそこが少し湿っているのを目で見て、谷の水の流れを頭の中で繋ぎ合わせて、ただあそこを指したのだ。声なんて、どこからも響かなかった。
それでも、病人の熱は下がった。命は救われた。
けれど、ウタの心はひどく冷え切っている。レンが守ってくれた骨の冷たさだけが、手のひらにまだ残っている。

星祭りまで、もう夜はない。

この日、動いたもの
信頼: ガルド
0.3 → 0.28
警戒: ガルド
0.83 → 0.85
信頼: レン
0.85 → 0.88
警戒: レン
0.08 → 0.07
特性: self_doubt
0.85 → 0.88
特性: pride
0.5 → 0.48
信念: 自分は聴き手だ
0.35 → 0.32