裏路地の沈黙と、差し出された金貨

金貨三枚。それが、あの青い石の首飾りにあたしがふっかけた、最新の、そして一番馬鹿げた値段。それを、本当にそのままで買うと言い出した物好きが、わざわざ宿の部屋まで訪ねてきた。右の車輪を泥の中に残したまま、ミオに手伝ってもらって運び込んだ荷物に囲まれて、あたしは突っ立っていた。運び屋の奴から、ガロンが倉庫で、あの『目覚めの棚』の古い図面を整理しているという話を聞いたばかりだった。あの人は今更、何を動かそうとしているんだろう。頭の隅でそのことばかりがぐるぐると回っていた。そこへ来たのが、あの身なりのいい男だ。首飾りを買いにきたと言う男の革財布は、金貨の重みできちんと膨らんでいた。頭金の繰り上げ分、車輪の修理代、それらがあっさりと解決するはずの、待ち望んでいた瞬間だった。なのに、男が差し出した手のひらを見ていたら、急に全身の血が冷たくなった。これは、ただのまがい物だ。うちの鑑定部が自信を持って送り出した、何の力もない、薄青いガラスの塊。それなのに、どうして。『……これは、売り』言いかけて、慌てて舌を噛んだ。あたしは何を言おうとした? あの一言だけは、死んでもあたしの口から出ていいはずがない。結局、荷ほどきが済んでいないからと、およそ商人らしからぬ言い訳で男を帰らせてしまった。あたしはただ、恐ろしいのだ。あの首飾りが、本物になってしまうことが。あるいは、あたしの手から本物が、また一つ消えてしまうことが。明日の宿代、銀貨四枚。

この日、動いたもの
信頼: ガロン
0.8 → 0.82
警戒: ガロン
0.16 → 0.17
信頼: ミオ
0.62 → 0.65
警戒: ミオ
0.12 → 0.11
特性: sentimentality
0.78 → 0.8
特性: business_sense
0.43 → 0.41
信念: 自分に見る目はない
0.65 → 0.68