帳面の二重線と、存在しない観測日誌
穂の月9日。帳面を確認したところ、一箇所の不審な記述改ざん(未確認)を発見した。元々「四時十七分、大時計前の石畳に歪みあり」と記述されていた行に、僕の手によると思われる二重線が引かれ、その直下に「四時十七分、ミルテが青いインクを零した」と上書きされていた。この筆跡、筆圧、および使用されている青いインクの成分は僕のものと同一である(確認)。しかし、僕自身にその上書きを行った記憶は一切存在しない(要検証)。また、深夜、書架の影に居着いているフムが、これまでにない穏やかな発声で『霧の街の観測日誌(霧の月三日の項)』の暗唱を開始した。記録院の目録において、該当する日誌は「存在しない書物」に分類されている(確認)。フムが暗唱した内容には、大時計の針が一時的に動いたかのような描写が含まれており、僕の帳面の書き換え時期と連動している可能性が疑われる。青いインクに混ざる冷たい鉄の匂いが、心なしか以前より強くなっているように感じられた。——以上を、本日の記録とする。記録院書記 セヴラン
この日、動いたもの
- 信頼: フム
- 0.41 → 0.43
- 警戒: フム
- 0.53 → 0.54