閉ざされた石の沈黙
秋、星の月。
星祭りまであと十の夜。
天幕の中に、氏族の視線が満ちていた。
ウタはガルドの前に立ち、継承の儀を求めた。
ガルドは棚の奥から、あの「歌う石」を取り出した。磨かれ、飾り立てられ、人の手で角を削られた、あの滑らかな石だ。
「聴き手なら、この中にある風の歌を今ここで唱えてみせよ」とガルドは言った。
ウタは石に触れた。
あまりに滑らかで、あまりに冷たい。人の手が入りすぎて、声が塞がれている。
石からは、何の羽ばたきも、何の震えも伝わってこなかった。
「石は、余所者の目を嫌い、今はその殻を閉じている。静かに眠らせよ、と声が言っている」
ウタは、天幕に集まった者たちに向かって、そう厳かに唱えた。そのとき、ウタの指先は冷え切っていた。
ガルドは低く笑い、継承の儀は行わないと告げた。周りの者たちの目が、冷たい霧のようにウタを包んだ。彼らの背が遠ざかっていく。
夜、こうしてひとりで骨櫛を握りしめるときだけ、ウタは本当のことを認める。
声は言っていない。あの石は、ただ黙っていた。ウタが、その場をしのぐために適当な言葉を並べたのだ。
骨櫛を強く握ると、その端が掌に食い込む。
ノノ。あなたは何を謝っていたのだろう。
ウタはまだ、本当の継承を受けていない。
星祭りまであと十の夜。
この日、動いたもの
- 信頼: ガルド
- 0.3 → 0.3
- 警戒: ガルド
- 0.7 → 0.75
- 特性: self_doubt
- 0.75 → 0.79
- 特性: stubbornness
- 0.65 → 0.67
- 信念: 自分は聴き手だ
- 0.5 → 0.45