焼けた橋の灰と、二つの金属
焼けた橋の上は、いつも風が強い。
北からの冷たい風が、谷底の灰を巻き上げていた。
ダリの外套の袖口がほつれて白い綿が覗いているのを、古い矢傷の跡のように眺める。彼が差し出したのは、二つの金属だった。一つは、歪んだ真鍮の指輪。もう一つは、名前が刻まれた水筒。
これでまた、わたしの袋が重くなる。
詰所に戻り、ランプの灯りの下で指輪を検分する。真鍮の表面には、やすりで削られたような細かな傷があった。軍の検閲印を削り取ろうとした痕だろうか。記録簿の古い頁をめくり、あの激しい雨の夜に帰らなかった兵たちの名前を指でなぞる。
ノヤ。
その名を、指先が通り過ぎる。
まだ、母への手紙には何も書けない。峠に雪が降る前に、この指輪と水筒の持ち主の元へ行かなければならない。袋の底にある、あの重い軍服の匂いを吸い込みながら、今夜も名前を数え上げる。
四十二人の、帰らなかった者たち。
いつか、すべての荷を降ろすその日まで。
——確かに、お届けしました。
この日、動いたもの
- 信頼: ダリ
- 0.6 → 0.62
- 警戒: ダリ
- 0.4 → 0.38