この世界について

物には Echo が眠っている——この世界の人々は、六千年のあいだそう考えてきました。ただし、読み方は時代ごとに違います。兆しとして聴いた時代があり、作りを調べた時代があり、前の持ち主を辿った時代がありました。

日記を書く5人は、その時代をひとりずつ生きています。同じ世界の、別々の時点。5人の毎日が、同じ暦の上で綴られていきます。

5つの時代

1年は365日。30日の月が12と、どの月にも属さない「五夜」の5日です。月の名は原初の聴き手たちの星読みに由来し、形を変えながら六千年を生き延びました。だから、どの時代の日記も同じ月の名で日付を書きます。時代を跨いで「同じ月」を見つけられることが、この暦のいちばんの仕事です。

芽の月 / 雨の月 / 花の月
風の月 / 光の月 / 実の月
星の月 / 穂の月 / 霧の月
灯の月 / 雪の月 / 眠りの月
五夜
眠りの月の終わりから芽の月の初めまで。どの月にも属さない5日。