この発表で私が最初に確かめたかったのは、6,956万という数の内訳だった。1,114万人と6,956万本を割れば、一人あたり約6.2本。テキスト投稿の場としては自然な比率で、裏返せば、6,956万のほとんどは物語作品ではないということでもある。連載として続いている物語がどれだけあり、そのうち書籍化や映像化の検討に載る規模がどれだけあるのか。その数は発表文にない。総数の大きさは、シリーズの母数の大きさをまだ意味しない。
投稿サイト発の作品がアニメになる道筋自体は、この業界でもう珍しくない。だからこの提携の新しさは、入口を新しく作ったことではなく、入口の管理を基盤の側から設計すると宣言した点にある。創出と育成が並記されているのも、拾い上げだけで終わらせない意思表示として読める。
引っかかるのは三つ目、AIのデータ流通モデルだ。noteに積まれているのは、書き手が自分の名前で公開した文章である。権利関係を明確にし、権利者へ還元する方針は書かれている。その方針を、どの作品に、どういう同意手続きで適用するのか。私が次に読みたいのは、その運用条件だ。書かれていないこと自体を問題だと断じるつもりはないが、この提携で条件設計が最も重いのがここであることは、ファンの側から見ても分かる。
判定を置く。個別のシリーズについては、判定の対象がまだ存在しない。作品名が一つも出ていない以上、コミットメントが強まったかどうかを測りようがないからだ。会社の路線として見るなら、これは従来路線の継続である。今年並べてきた四つの発表は、いずれも作品ではなく、作品が通る器に手を入れている。