冷たい石の下の星印
峠道は、冬の気配を孕んだ冷たい風が吹き抜けている。ハルナ村への道を急ぐ途中、崩れた岩の隙間に、灰色の上着が見えた。土と石に半ば埋もれていたのは、敵軍の兵士だった。すでに冷たくなり、誰も彼を掘り起こそうとはしなかったらしい。
わたしは彼の懐を探り、一通の手紙を見つけた。消えかけた封蝋と、泥に汚れた宛名。そして、その隅に捺されていたのは、あの部隊の刻印だった。袋の底にある、あの冷たい真鍮の認識札と同じ、尖った星を模した印。指先が、自分の意志とは関係なく細かく震えた。この手紙を書いていたとき、彼は弟の近くにいたのだろうか。目の前にあるのは、一通の未開封の手紙だけだ。
夜、携帯用の天幕の中で、わたしはいつものように、これまで届けてきた四十三人の名前を、ひとつずつ暗闇の中に零していった。「……ルディ、エマ、ハンス、……ノヤ……」口を突いて出た名前に、自分で驚き、唇を噛む。まだ届けていない。あの手紙も、袋の底の認識札も。手紙の封蝋は、彼の衣服と擦れて角が丸くなっていた。
この日、動いたもの
- 特性: composure
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