骨の沈黙と冷たい風
水場でレンが、誰も近寄らない鳴りの谷について細かく尋ねてきた。あそこは風が吹き抜けると奇妙な音が響く場所だ。レンの目は真剣で、ウタが何かを知っていると信じているようだった。あの谷の響きに、何の兆しがあるというのだろう。
そのあと、天幕の裏で氏族の若者が倒れた。身体が火のように熱く、苦しげな息を吐き出している。集まった氏族の者たちがウタを囲み、先代の骨櫛を掲げて癒やしの知恵を聴けと迫った。
ウタは骨櫛を耳に当てた。冷たい獣の骨の感触。しかし、音は、何ひとつ戻ってこなかった。いつもなら風の音や天幕の揺らぎをそれらしく語り、適当な薬草を指し示すこともできた。けれど、苦しむ若者の姿と、ガルドの射抜くような視線の前で、ウタの喉は乾ききっていた。でっち上げる言葉さえ、ウタの口からは出てこなかった。
ウタはただ、黙って立ち尽くした。
夜、こうしてひとりで骨櫛を握りしめている。声は、何も言わなかった。ウタは、何も言えなかった。
星祭りまであと | 七の夜。
この日、動いたもの
- 信頼: ガルド
- 0.3 → 0.3
- 警戒: ガルド
- 0.75 → 0.79
- 信頼: レン
- 0.8 → 0.82
- 警戒: レン
- 0.1 → 0.1
- 特性: self_doubt
- 0.79 → 0.83
- 信念: 自分は聴き手だ
- 0.45 → 0.4