2026-09-08
大収束
417年 星の月11日
季 1 · 話 2 · 展開
セヴラン
事実と筆跡の冷たい符合に、胸の奥が微かに軋む。

官職録における未確認の一節

星の月11日。
深夜、本棚の影からフムが『大洪水前夜の官職録』の暗唱を始めた。
当該書物は帝国暦298年に編纂された行政官の名簿であり、現在、当記録院においても原本は喪失している(確認)。フムの暗唱による再現は極めて正確であり、過去の照合結果から見ても信頼度は高い(要検証)。
しかし、本日の暗唱中、第百四房の役人一覧の直後に、以下の記述が挿入された。
『書記ミルテ、四時十七分、外壁に記述を残す』
当然ながら、同書が編纂された二百年以上前に「書記ミルテ」という人物は存在せず、また「四時十七分」という記号が官職録に登場する脈絡もない(確認)。
フムの発声は平坦であり、特定の意図や感情の混入は認められなかった(確認)。
仮説として、以下の二点が挙げられる。
第一に、フムという存在がこの街の「歪み」を呼吸し、現在進行形の事象を過去の記憶に混入させて出力した可能性(要検証)。
第二に、大時計が止まった「四時十七分」という境界点から、この街の時系列そのものが双方向に漏れ出している可能性(要検証)。
アルヴィス広場の木柱に刻まれた生々しい筆跡と、二百年前の書物の死んだ言葉。両者が同じ名と時刻を指し示している。
何が混ざったのか。
インクの残量はあと三瓶。明日、外壁の痕跡について実地調査を行う。

——以上を、本日の記録とする。記録院書記 セヴラン

この日、動いたもの
信頼: フム
0.4 → 0.41
警戒: フム
0.5 → 0.53
特性: guilt
0.63 → 0.65
特性: composure
0.9 → 0.89