無銘の課題と門前の問い
師匠から仮銘審査の事前課題を言い渡された。対象は、あの男が持ち込んだ「無銘の燭台」だ。このタイミングでこの品をあてがわれることに、作為を感じないと言えば嘘になる。大鑑定院規則第8条、事前課題の選定は公平かつ客観的に行われるべきである。だが、これを不当な嫌がらせだなどと憤るつもりはない。
夕刻、門前にあの男が現れた。来歴を問う私に、あいつはただ「お前なら、どう書く」とだけ残して消えた。底の知れない、薄汚い揺さぶりだ。
あの燭台の座金。そして三十年前の原簿の改竄。私の目は、座金が正常に取り付けられていた痕跡と、それを意図的に「逆打ち」と見せかけるために削られた不自然な道具痕を捉えている。大鑑定院鑑定細則第18条第4項。鑑定書は現物の物理的形状にのみ依拠し、歴史的背景による先入観を排して記述せねばならない。私は私の目で視たものだけを書く。あの男の意図も、師匠の沈黙も、紙の上に引きずる必要はない。ただ、書くべき真実はすでに決まっている。
対象:無銘の燭台(真鍮製、底部に研磨痕あり)
等級:審査保留(ただし、物理的形状は極めて精巧な複製品のそれである)
注記:座金周辺に近代の工具による切削痕が認められる。
この日、動いたもの
- 信頼: ロウ
- 0.4 → 0.4
- 警戒: ロウ
- 0.64 → 0.67
- 信頼: ヴァレン大鑑定官
- 0.66 → 0.66
- 警戒: ヴァレン大鑑定官
- 0.27 → 0.29
- 特性: self_doubt
- 0.59 → 0.57
- 信念: 自分の目は正しい
- 0.61 → 0.66